膨大なデータを効率的に印刷!
私たちの暮らしに欠かせない「自動組版」とは?
- 「自動組版(じどうくみはん)」。なんだか聞き慣れない響きですが、実はコレ、私たちの毎日の生活で、すごく身近なものに使われているんです。さっそく、そのヒミツに迫ってみましょう!
ルールに基づいてデータをレイアウト!
実は宛名印刷も「自動組版」の一種なんです
本日は富士フイルム グローバル グラフィック システムズ株式会社にやって来ました。
「よろしくお願いします!」
まずは「自動組版」について簡単に伺いたいのですが…。
「一般の方はほとんど聞かない言葉ですよね。でも、自動組版とほぼ同じことを、みなさんは年末年始にやっているんですよ」
そうなんですか? 年末年始といえば、まさに今ですが…。
「年賀状の宛名印刷がありますよね。あれも自動組版の一種です。
『組版』とは、印刷・出版などの業界で使われる用語で、デザインの指示やレイアウトのルールに従って、『文字や画像を配置する』こと。その作業を自動で行うのが『自動組版』です。
年賀状の宛名印刷でも、Excelや印刷ソフトの『データ』を、宛名配置のルールに従って自動でレイアウトし、印刷していますよね?」
確かに! 毎年恒例の年賀状印刷も、自動組版の一種だったんですね〜。
「小売店のPOPもわかりやすいと思います。
同じレイアウトで、商品名・価格など膨大なバリエーションを印刷しなければならないシーンでは、いちいち人の手で情報を更新して印刷するのは手間がかかりすぎます」
想像しただけで気が遠くなりそうです…。
「自動組版は、膨大な情報を扱う印刷の現場では、なくてはならない仕組みなんですよ」
ひとりひとりに寄り添う印刷物を実現する「自動組版」の技術
「もちろん、宛名印刷は非常に単純な自動組版で、ビジネスとしての自動組版はもっと複雑なものになります。例えば、健康診断を受けると、医療機関から診断結果が届きますね。
表紙の名前はもちろん、各種の診断データや数値変化などを、図やグラフで表示して、ひとりひとり刷り分けています」
文字だけでなく、数値のようなデータをグラフィカルに処理してレイアウトすることも自動組版の機能なんですね。
「ほかに、ダイレクトメールでもこのように、写真の中に宛先の方の名前を印刷して届けるような試みも、最近ではよく見られるようになりました。
これはシンプルな例ですが、顧客情報に基づき、伝える情報そのものを出し分けて印刷するような例も出て来ています」
名前や情報の内容が「自分向け」になっていると、受け取る側もうれしいですよね!
「2000年代以降、印刷機や印刷技術の進歩もあり、ひとりひとりに最適な情報を印刷することが容易になってきました。ひとりひとりにカスタマイズされた『one to one』の印刷は、さまざまな企業やサービスにおいて、お客さまとのコミュニケーションに活用されています」
そのほか、出版・報道の分野では、住宅、中古車、求人などの「データ情報誌」や、ラジオ・テレビの情報欄など、ジャンルを問わずに活用されているという自動組版。私たちの生活に、自動組版は欠かせないものとなっているんですね。
「いかに速くデータを処理するか」が情報の鮮度にかかわる
同じ情報を広く伝えるのではなく、ひとりひとりに最適な情報を届けることができる自動組版の技術。富士フイルムの自動組版システムの強みはどのようなところにあるのでしょうか?
「印刷機の進化によって、印刷スピードが飛躍的に速くなっています。より早く、的確な情報を発信できるようになりましたが、実は、『自動組版の処理速度』がネックになっているのです。
現在、印刷に使われているのは、みなさんにもお馴染みの『PDFデータ』です。富士フイルムでは、より早くPDFを出力する技術を研究・開発し、より鮮度の高い情報を提供できるシステムを目指しています」
最新の産業用インクジェットプリンターは毎時3600枚のプリントを出力することができるそうです。プリンターの性能を最大限に発揮する自動組版のシステムが、今後も進化を続けていきます。
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