- みなさん「FUJINON(フジノン)」をご存じですか? フジノンは富士フイルムのレンズブランドで、デジタルカメラや双眼鏡、車載用レンズなど、さまざまな商品に「フジノンレンズ」が採用されています。そして、今回ご紹介するのは、テレビ制作の現場で使われる「放送用レンズ」。普段あまり馴染みのない世界ですが、実はフジノンレンズが大活躍しているんです。
これは知らなかった!
世界の放送制作に貢献する日本メーカーのレンズ

フジノンレンズの秘密に迫るため、やってきたのは「フジノン映像機器内覧会」。最新の放送用レンズを間近で見ることができそうです!

内覧会を案内してくれたのは、富士フイルム 光学・電子映像事業部の金子さんです。
さっそくですが、いまお持ちになっているのが放送用レンズですか?
金子「はい、こちらが『放送用TVレンズ』です」

金子「このように、ビデオカメラの前に取り付けて使います」
なるほど! ……あれ? でも、カメラには「SONY」とありますね。
金子「そうなんです。放送の世界では、カメラはカメラメーカー、レンズはレンズメーカーと、完全に分業体制になっています。さらにレンズに関しては我々フジノンと、キヤノンさんの2社しか作っていません。この2社で世界中の放送局にレンズを供給しています」
へぇ〜〜! それはまったく知りませんでした。ということは、世界のテレビ放送の映像は、日本メーカーのレンズで撮影されているわけですね! カメラとレンズを、それぞれ専業メーカーが作っているという意外な事実にもビックリ。放送用TVレンズ、まだまだ秘密がありそうです……。
放送業界のトレンドは「4K」!
目玉は世界一の107倍ズームレンズ

内覧会ということで、放送業界の方々もたくさん来場していますね〜。ところで、放送用TVレンズの現在のトレンドというのは?
金子「やはり『4K』ですね。4K対応テレビもかなり普及してきていますし、総務省でも2018年から4Kの実用放送を行うロードマップをひいています。
それも踏まえ、フジノンレンズとしても、より高解像度な4K放送に対応する高性能なレンズを開発しています」

あ、これはニュース番組なんかでたまに映るカメラじゃないですか? 放送局にあるような。
金子「おっしゃるとおりです。これはスタジオ・中継用のレンズで、カメラの前についた箱形の部分が、レンズ本体になります。大口径のレンズが40枚近く入っていて、レンズだけで20㎏以上ある重量級ですね。お値段も……かなりのものになります」
え〜と、例えば「車が買えるくらい」とか?(笑)
金子「レンズの種類や倍率にもよりますが、最上位のものだとスポーツカーが買えるくらいの価格のものもありますね」
そうなんですか! やはりプロの現場のものは、スケールが違いますね。

金子「こちらは世界でも最高倍率となる107倍ズームレンズです。」
ひゃ、107倍!? ちょっと想像できませんが、スゴそうですね。ちょっとズームしてみてもいいですか?
金子「もちろんどうぞ。まず、これが最も広角な映像です」

えーと、向こうになにか赤い台のようなものが見えますね。

おぉ、だいぶ見えてきました。テーブルにワインボトルと薔薇の花が置かれています。

金子「そしてこれが107倍です」
うわ〜、薔薇の花がこんなにアップに! この107倍ズームのレンズは、どんなシーンで使われているのでしょう?
金子「やはりスポーツ中継やコンサートなどでその真価を発揮するレンズだと思います。スタジアムの高いところからでも、選手やアーティストの表情やしぐさを、はっきりと映すことができます」

このような高性能なレンズのおかげで、スポーツ中継やライブ映像がより美しく、より魅力的なものになるんですね!
大きなレンズの品質を高める
「研磨精度」と「コーティング技術」
普段は目にできない「放送のプロの現場」を堪能できた内覧会でした。最後に、レンズに使われている“フジしか知らない”技術について伺えますか?
金子「レンズは非常に滑らかでツルツルしているように見えますよね。でも顕微鏡で見ると細かな凸凹があり、それを極限まで抑える技術が重要になります。

たとえばこのレンズは直径が20㎝ほどありますが、もしこれが直径100メートルの野球場だとしたら、レンズ表面の凸凹はどのくらいだと思いますか?」
これが野球場だとしたら、ですか!? そうですね。やっぱり石ころくらいの凸凹はあるんじゃないかと……。
金子「実は、このレンズが直径100メートルだとしても、表面の凹凸は髪の毛一本以下の歪みしかありません。富士フイルムの光学技術を支える『研磨精度』が活かされています」
野球場に落ちた髪の毛! それはもはや「凸凹」じゃないですけど、本当にすごい精度なんですね。「車が買えるくらいの値段」なのも納得です!
金子「もう一つ、レンズ表面のコーティング技術も極めて重要になります。レンズは透明ですが、ごくわずかに光を反射してしまいます。光が反射してしまうと、『フレア』や『ゴースト』といった、本来はない光が映ってしまいます。また、40枚ものレンズを使っているので、微量でも反射してしまうと、カメラのレンズに届く光がかなり弱くなってしまうんです。
それを防ぐために、レンズ表面に独自コーティングを行い、99.8%という高い透過率を達成しています」
大きなレンズの中に、富士フイルムのミクロの技術が活かされているんですね。
- 放送の世界の奥深さと、市販のビデオカメラとの違いに驚かされた内覧会でした。今日ご覧になったテレビ番組も、フジノンレンズを使って撮影された映像かもしれませんよ!
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