ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです
サイト内共通メニューへ移動します
本文へ移動します


第7回 一生分の人生記録が1本に入っちゃう!?富士フイルムが開発する”すごいテープ”を見てきた!

"すごいテープ"はカセットテープの親玉?

出迎えてくれたのは、富士フイルム 記録メディア事業部の田中さんと立川さんです。


「まずは実物をご覧いただいたほうが早いですね。これがその、"すごいテープ"です!」と、さっそくその"すごいテープ"を見せてもらえることになりました。


おぉ!これですか。思ったより……フツーですね(笑)。何というか、カセットテープに近い感じがします。


「お! 鋭いですね。こちらはわかりやすいように、スケルトンになっているもので、中にテープが巻かれています。このテープは現在業務用のデータ記録に使われている『LTO』という規格のカートリッジになります」

ということは、今回のテープは、昔ラジオを録音したり、CDをダビングしたりしていたカセットテープ(オーディオカセット)の親玉みたいな感じでしょうか?

「そうなんです。原理的には、昭和世代にはお馴染みの『カセットテープ』と変わりません。性能や品質、そして信頼性は以前とは比べものにならないくらい進歩していますが、薄いフィルムに磁石の性質を持った粒子が塗ってあるという意味では同じです。一般的には『磁気テープ』と呼ばれています」

へぇ~。カセットテープに巻かれていたテープには、磁石が塗ってあったんですね! ノーマルとか、ハイポジとか、メタルとかあったなぁ…(遠い目)。

「実はそのノーマルとかメタルの違いは、フィルムに塗られている粒子『磁性体』の違いでもあったんです。実はカセットテープやビデオテープと、この"すごいテープ"の最も大きな違いはそこにあるんですよ!」

1本のテープは6TB、960メートル!一生分の写真を記録できるほどの大容量

巻かれているテープそのものは、見た感じ昔使っていたカセットテープとそれほど変わりませんね。ということは、一見して見えないところに違いが隠されているわけですね?
「そうなんです。この"すごいテープ"『LTO』に塗られているのはBaFe(バリウムフェライト)という物質で、カセットテープやビデオテープに塗られていた磁性体よりも極めて小さな粒子です。1つの粒子の大きさは100万分の2ミリしかありません」

ひゃ、100万分の2ミリの粒子にデータを記録していくわけですか。なんだか気が遠くなってきますね。

「この新素材によって記録密度が飛躍的に高まり、現在では1巻のカートリッジに6TBもの大容量を記録できるようになりました。これは、1000万画素の写真を1日10枚撮ったとして、それを80年ぶん記録できるくらいの容量になります」

な、なんですって…!
要するに、一生分の写真がこの1本のテープに収まっちゃうようなものですよね。なんというか、ちょっと想像を絶するんですが、本当にそんなに記録できるテープがこのカートリッジに巻かれてるんですか?

「この1本に巻かれているテープ、960メートルもあるんですよ」


ほぼ1キロ! 私運動不足で、1度にそんなに走れません(汗)。960メートルにもわたって、100万分の2ミリの小ささで粒子が並んでいる『LTO』。庶民感覚からすれば、これはもはや宇宙的なスケールを感じさせるテープですね!

※「LTO」は業務用製品のため、一般の方はご利用いただけません

ノーベル賞を生み出す研究施設にも貢献!ITインフラ、映像記録にも活用が広がる

さて、そんな大容量を実現している『LTO』テープ。実際の用途は業務用になりますが、どんなシーンで活躍しているのでしょうか?

「茨城県つくば市にある「高エネルギー加速器研究機構(KEK)」は、高エネルギー加速器を使い、素粒子や原子核などに関する研究施設です。研究所の実験データは膨大で、それを長期間、安価に記録・保持していくために磁気テープが採用されています。
また、世界のテレビ局や映像機関が、これまでフィルムやビデオテープで保管してきた資産をデジタル化し、アーカイブする動きが盛んになっています。長年にわたる膨大な映像記録の容量は極めて膨大なので、容量あたりの単価が安い磁気テープが有効な選択肢になっています」

これらは活用例のごく一部ですが、私たちが直接使うことのない最先端の磁気テープが、私たちの生活を支える"縁の下の力持ち"として活躍してくれていることがわかりますね!

将来的には1巻220TBの超大容量も視野に!「今」を未来に残し続ける「アーカイブ」の使命

最後に、今後さらなる進化を遂げる、磁気テープの未来について聞きました。

「この『LTO』、次期バージョンでは12.8TB、その次は25TBと、2~3年ごとに大容量化を進めていきます。将来的には、1巻あたり220TBを目指しています」

6TBでも気が遠くなるのに、220TBですか! そうなったら一生分の写真どころか、一生分の映像が1本に入ってしまいそうですね。

「そうなるかもしれません。今おっしゃったように、大切なデータを『記録しておく』『残しておく』アーカイブという考え方が、これからますます重要になってくると、私たちは考えています。 最近では、IoTやビッグデータといった蓄積したデータを分析することで、より良い社会を実現していこうという動きが顕著になってきました。そのような中で、磁気テープ、そしてフジフイルムの研究・開発力は、未来の社会に貢献していけると思っています」

平安の昔の書物が千年の時を超えて保管され伝えられてきたように、今私たちが生きている「今」の膨大なデータが磁気テープなどによって「アーカイブ」され、未来の人類に伝えられていくと考えると、何だかロマンがありますよね。少しオーバーですが、フジフイルムは"人類の営みを記録する"という壮大な使命の一端を担っているといえるかもしれません。
「データストレージメディア」について
詳細はこちら
【次回予告】
インク切れなし! 印刷の失敗なし!自宅プリント10年のベテランが初めて写真年賀状を注文してみた


backnumber

  • 第1回

    20年間押し入れに 眠っていた「ネガ」を、“どうにか”してみた。

  • 第2回

    センスに自信がないパパが“アルバム大使”に入門してきた!

  • 第3回

    【祝30周年!写ルンです】はじめましての子どもたち、お久しぶりの大人たちがフィルム写真を撮ってみた!

  • 第4回

    見たいのに見られない、
    「謎のテープ」から何かがはじまる?!

  • 第5回

    思い切ってエイっ!水の中にデジカメ突っ込んで撮影してみた!子どもも大人も楽しめる「デジカメ写真で自由研究!」

  • 第7回

    一生分の人生記録が一本に入っちゃう!?フジフイルムが開発する"すごいテープ"を見てきた!

  • 第8回

    年末恒例、1日がかりの大仕事が・・たった30分に!?"超時短"フジカラーの写真年賀状を試してみた

  • 第9回

    2017年は、家族写真で「マイカレンダー」!絆を深める“目からウロコ”のテクニックを聞いてきた

  • 第10回

    あの駅もこのビルも、そして…その列車も!ノウハウと職人ワザが実現する"巨大広告"の舞台裏

  • 第11回

    スマホ写真の毎日を、"写真を楽しむ毎日"にライフスタイルを変える!?「スマホ de チェキ」体験記

  • 第12回

    富士フイルムの得意分野で医療に貢献!"きれいな写真画像"が病気を見つけやすくするって本当?!

  • 第13回

    あなたの社員証ももしかして…!?“写真に強い”フジフイルムのIC・IDカード

  • 第14回

    "時を飾る"という、新しい価値。「ウォールデコ」が思い出を日常にする

  • 第15回

    かわいい! 飾りやすい! フォトジェニック! 写真のある毎日を身近にする「ましかくプリント」に注目

  • 第16回

    実は世界のテレビ放送を支えているって知ってますか? レンズブランド「フジノン」の内覧会潜入レポート

  • 第17回

    もっと“美しい私”でプリント!新サービス「美肌モード」の魔法

  • 第18回

    2大テーマパークや、サンリオピューロランドでも!アトラクションごとにオーダーメイドで対応

  • 第19回

    「押されると赤くなる」ただそれだけのフィルムが40年以上製造業の現場で支持されているヒミツとは!?

  • 第20回

    独創的な「ユビーク技術」で自動車シートにオリジナルデザインをオーダーできる時代が来る!?

  • 第21回

    銀(Ag+)のチカラで「持続除菌」!インフルエンザ対策にもおすすめの新・除菌習慣

  • 第22回

    1月1時間で素敵な家族のアルバムが完成「つづけるアルバム」が日本のアルバムを変える!

  • 第23回

    学校の思い出写真をインターネットでカンタン注文!高いセキュリティで選ばれる「フジフイルムスクールフォト」

  • 第24回

    「速い」「美肌」は当たり前! 画像ダウンロードやマイナンバーカード申請もOKな証明写真ボックス

  • 第25回

    デジタルミラーレスカメラが映画撮影の現場に!? Xシリーズ最新モデル「X-H1」開発秘話

  • 第26回

    視界の隅々までクッキリ&ハッキリ! 製造現場を支える機械の目「マシンビジョンレンズ」

  • 第27回

    美しい髪色がずっと長持ち! 花王との共同開発で生まれた「レインボー染料」とは?

  • 第28回

    全国33会場で今年も開幕!想いをつなぐ『50,000人の写真展』

  • 第29回

    “その道”では「いつかは手に入れたい」憧れ! フジノンの双眼鏡

  • 第30回

    「ひび」を見つけて社会を守る!「ひびみっけ」ってどんなサービス?

  • 第32回

    東京ミッドタウン「フジフイルム スクエア」で写真の歴史と文化、アートに触れる

  • 第33回

    膨大なデータを効率的に印刷!私たちの暮らしに欠かせない「自動組版」とは?

  • 第34回

    簡単だから続けられる。残っていく。スマホ×写真プリント=「かぞくのきろく」

  • 第35回

    皇居周辺をお好みのXシリーズで試し撮り散歩!デジカメと一緒に長く付き合える「富士フイルム イメージング プラザ」

  • 第36回

    3ステップで手軽に写真プリントを注文できる「超簡単プリント」をやってみた

  • 第37回

    “みせたくなる”本『PhotoZINE(フォトジン)』担当者が絶対に入れたかったこだわりポイントとは?

  • 第39回

    自分だけの、家族だけの『フォトグッズ』「使って、贈って、うれしい」新しい写真の楽しみ方

  • 第40回

    「守る」「快適」そして…「見える」!ウィンドウフィルムは縁の下の力持ち

  • 第41回

    撮って、すぐ出て、音も記録できる!新世代チェキ「instax mini LiPlay」が楽しい

  • 第42回

    エンジンを守り燃費向上にも貢献!「超分子」が実現した画期的なエンジンオイル用材料

  • 第43回

    快腸なら調教も快調!富士フイルムが競走馬の腸内環境をサポート

  • 第44回

    熱処理せずに「生ビール」が飲める幸せ…実は、ミクロフィルターのおかげだった!

  • 第45回

    ネガフィルムの写真も簡単・快適にデジタル化 “思い出探し”が楽しくなる「フォトバンク」がうれしい!

  • 第46回

    首が曲がって投影方向は自由自在!新しい映像表現を支えるプロジェクターが誕生


ここからフッターです

ページの終わりです
ページの先頭へ戻る