押されると赤くなる！「プレスケール」ってこんなフィルム

気になるのは、実際の「プレスケール」のお姿！ まずは見せていただきました。ジャジャン！

パッと見たところ、白っぽい塗料が薄く塗られたフィルムという感じですが…。どのように使うのでしょうか？
富士フイルム 産業機材事業部の方に聞いてみましょう。よろしくお願いします！

「よろしくお願いします。

試しに親指で押す力を測ってみましょうか。これは、2枚のフィルムを重ね合わせるタイプで、かなり小さな圧力にも反応するように作られています。“感度が高い”シートですね。

薬品を塗布してある面が向かい合うようにして重ねます。

ギュッと指で押してみましょう。

するとこの通り。指で押した形に、赤く発色します。赤が濃い部分が、より強い圧力がかかっている場所になります」

かかった圧力の強さを、赤いグラデーションとして見ることができるんですね。BtoB（業務用）向けの商品ということですが、使い方はとってもカンタンです！

最新スマートフォンのほとんどの製造現場でプレスケールが活躍している！

プレスケールを使って手軽に圧力を測ることができることがわかりました。では、どのようなシーンでプレスケールが活用されているでしょうか？

「工業製品はもちろんのこと、食品加工や印刷など、工場にはさまざまな『圧力をかける』工程があります。

上のイラストのように、型に押し込んだり、何かを接着したり、ロール状になったものを押しつけたりと、本当に多岐にわたる『圧力をかける工程』があるんです。
そして、これらの圧力は面内に均一な力がかかっていないと、不具合の原因になったり、想定通りの仕上がりにならなかったりします」

1日に何万回、何十万回と動きつづける製造機械だから、圧力のチェックが必要なんですね。

「私たちになじみ深い製品でいえば、スマートフォンの製造でも多くの工程でプレスケールが使われています。例えばタッチパネルを取り付ける工程では、画像を表示する液晶パネルの上に、操作を感知するためのタッチパネルを取り付けます。

圧力をチェックする際には、液晶パネルとタッチパネルの間にプレスケールを挟みます。

「良い例」のように、パネル全体に均一に力がかかっていないと不具合の原因になるので、1日に3回程度は、圧力をチェックしているそうです」

日本で販売されているような、最先端のスマートフォンに関しては、ほとんどの製造現場でプレスケールが使われているのだとか。世界で年間で14億台を生産するというスマートフォン。その品質に、“薄くて軽い”縁の下の力持ちがいました。

ポイントは富士フイルムのマイクロカプセル技術。
好きな形に切って使えるフィルム状だから使いやすい

このプレスケール、いったいどんな仕組みで圧力を可視化しているのでしょうか？

「ちょっと難しそうに見えますが、こちらの図をご覧ください。上のフィルムに塗布されたマイクロカプセルには、発色剤が入っています。圧力によってカプセルが割れると薬品が下のフィルムに触れて化学反応を起こし、赤く発色する仕組みです」

小さいカプセルがプチプチッと割れて、色が付いているわけですね。

「はい。マイクロカプセルの“割れやすさ”を調整するなどなどして、さまざまな圧力の測定に対応しています」

ちなみに、プレスケールのような圧力測定フィルムを作っているのは世界でも富士フイルムだけなのだとか。マイクロカプセルの製造技術はもちろん、それを精密に塗布する技術も必要です。

「幅広い圧力範囲に対応することに加え、プレスケールの大きなメリットになっているのが、『好きな形に切って使える』という手軽さです。このように、ハサミで簡単に切ることができます。圧力がかかる面の形はさまざまですから、機械に合わせて自由な形で使えることは大きなメリットになります」

40年も前に誕生したプレスケール、今でも進化し続けています！

高い精度を求められるモノづくりの現場で、欠かせない存在となっているプレスケール。意外にも、その誕生は今から40年も前のことだと言うのだから驚きです。



「製品自体は40年前に誕生しましたが、より幅広い圧力に対応するために最先端のマイクロカプセル技術を活用するなど、プレスケールも進化してきました。 今後はより高い圧力がかかる状態で正確な測定ができるフィルムや、曲面に活用できるフィルムなども視野に入れながら、製造現場の良きサポート役として、お客さまや社会に貢献していきたいと思っています」