受験生のインフルエンザ対策
いよいよ受験シーズン本番。シビアな体調管理が必要になってくる時期ですね。
僕の友だちも子どもが受験らしく「インフルエンザだけは本当に勘弁!」って祈るようにいってますね。あべさん、インフルエンザって予防できるんですか?
タイムリーな話題ですね。実は今年はわが家も三女が大学受験です。
あべさん、3人も娘さんがいるんですか~。
いや、もう一人いて四姉妹です(笑)。なので、受験生への配慮はインフルエンザ対策を含めていろいろ得意技を持っていますよ。
おお、それは友だちに伝授したいので、いろいろ教えてください!
インフルエンザウイルスはどこからやってくる?
ほとんどの家庭内には、インフルエンザウイルスはいません。じゃあどこからくるかというと、家族の誰かが、感染した人からもらってきてしまうんです。学校や会社など、人が大勢いるところほど、インフルエンザウイルスをもらう可能性は高くなります。
友だちの家庭は、奥さんと子どもが冬休み中ほとんど家にいたのにインフルエンザにかかってしまって、真っ先にパパが疑われていましたね(笑)。
当たっているかもしれませんね(笑)。インフルエンザがどうやってうつるかというと、ひとつは「飛沫感染」。感染している人の咳やくしゃみで出るしぶきを吸い込んでしまうことによるものです。ただ、多くの人は咳やくしゃみをするとき手で口をおさえますよね。他人の咳やくしゃみのしぶきを直接顔にかぶった経験なんてありますか?
ないですね~。私の子どもは顔の前で平気でくしゃみとかしてますけど。
知らない人からそんなことされたら大事件ですよね(笑)。
ですよね。だから飛沫感染も感染経路のひとつではあるのですが、特に注意が必要なのは「接触感染」です。これは、インフルエンザに感染している人が咳やくしゃみをしたときに口を手でおさえて、たとえばその手でドアノブやつり革を触り、それを別の人が触ることでウイルスが付着し、なにかのタイミングで口や鼻などに入り感染してしまうものです。
この季節、通勤電車で咳やくしゃみをしている人、多いです…。
インフルエンザの症状が出ていなくても感染している人もいますしね。大勢の人がよく触るところには菌やウイルスが大量に付いている可能性が高いということをまず知ってほしいですね。そういうところに身をさらしているのだと認識しながら生活するのがいいと思います。
「自分の手は汚いもの」だと認識する
ただ、インフルエンザウイルスは手に付いただけでは感染しません。すでにお伝えしていますが、手に付いたウイルスが口や鼻、目などの粘膜から体内に入ることで感染します。手で目をこすったり、なかには手で鼻をほじっている人もいますよね。
たまに食後に指を爪楊枝がわりにしているおじさんも見ます…。
それって、手にウイルスが付いている可能性があるという認識がないからですよね。「食事の前には手洗いを」というのはよくいわれることですが、意外に洗ってないと思うんですね。とくに受験生に注意してほしいのが、ファーストフード。手を洗わずにフライドポテトを直接手で食べている人って、結構多いんじゃないでしょうか。
たしかに…。それどろか、指先に塩が付いたらペロッとなめちゃったりね(笑)。
あれって非常にリスクが高いんですよ。受験生ならファーストフードでも食事の前の手洗いは徹底して、さらにポテトもフォークなどで食べることをおすすめします。ちなみに手洗いって、どうやっていますか?
えーと、こんな感じかな(手のひらを合わせてこすってみせる)。
おそらく多くの人がそんなふうに手のひらをゴシゴシこすって洗っていると思うんですが、むしろよく使い、口に触れる可能性が高いのは指先ですよね。
いわれてみれば…。これからは右手の指先を最優先して洗います!
ぜひそうしてください。ただ、手にウイルスが付いていても、結局口などを触らなければリスクは下がるんです。口のまわりを手から守るという意味では「マスクを付ける」のは簡単でとてもよい方法だと思いますよ。
でも、うちの息子は手洗いもしてくれないし、マスクも嫌がるんですよね~。
やっぱり子どもには単に「手を洗いなさい」といってもダメで。「手にはいろいろなウイルスが付いていて汚くて、それが体内に入るとものすごく高熱が出て苦しい」というふうに、手を洗う意味をちゃんと教えてあげるのがいいと思います。マスクも同様で、「マスクをしておくと、ウイルスが付いた手が不意に口や鼻に触れるのを防げる」という話をしてあげると、子どもの意識も変わるのではないでしょうか。
家庭内でのインフルエンザ対策
とにかく家庭の中にインフルエンザウイルス持ち込まない最大限の努力をしてほしいですね。家に帰ってきたら必ず手洗いを。お父さんが酔っぱらって帰ってきても、「手を洗うまでは、リビングなど家族の共有スペースには入っちゃダメ」というくらい徹底したほうがいいと思います。さらに食卓やドアノブ、手すりなど、手が触れるところの除菌を徹底しておくとよいですよ。
アルコール除菌でいいですか?
はい。ただ、アルコールならなんでもよいわけではなく、度数は40%以上。除菌効果がより期待できるのは60~80%といわれています。また、アルコールは蒸発してしまうと、除菌効果はなくなってしまいます。30分に1回とか、1時間に1回とか、こまめに除菌ができればいいですが、現実的には難しい。アルコール除菌のなかには持続効果のある除菌アイテムもあるので、そうしたものを上手に使ってほしいですね。
体内に入ってしまったインフルエンザウイルスはどうする?
どれだけ熱心に対策をしてもインフルエンザウイルスが体内に入ってしまう可能性はありますが、最悪インフルエンザウイルスが体内に入っても、胃まで入れてしまえば死んでしまうといわれています。
え、死ぬんですか!?
はい。ちなみに、うがいでは喉の入り口しか洗えないのでウイルスをとるのに十分とはいません。うがいをするならガラガラした後、その水をゴクッと飲み込んでしまうといいですよ。
へえ!でもちょっと抵抗があるかも…(苦笑)。
それであれば、一度うがいしてから改めて水を飲むという2段階でもいいですよ。増殖するまえにインフルエンザウイルスを飲み込むために、10分に1回程度、水を飲むことを推奨しているお医者さんもいます。また、喉の粘膜が濡れると、いらないものを外に吐き出す繊毛の動きがよくなるともいう説もあるのでおすすめですよ。水以外にお茶やコーヒーで水分補給してもいいと思います。
でも寝ているあいだは、水分補給はできないですね。よく、朝起きたら喉が痛くなっているんですが。
寝ているあいだは喉が乾燥しやすいので、部屋の加湿がとくに大事です。加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保つようにしてください。私は出張先のホテルで、乾燥しているなと感じたら、タオルをびちょびちょに濡らして置いています。受験のためにビジネスホテルに泊まる受験生も多いと思うんですが、ぜひそうした乾燥対策をしておくとよいですよ。
ただでさえ緊張しているから、慣れない土地での最後の体調管理は万全にしたいですよね。
受験対策で一番重要なのは、とにかく健康でいること。受験というのは緊張するし、ストレスもかかるもの。家庭ではできるだけリラックスさせてあげて、お子さまがいつもの状態を維持できることが重要だと思っています。
あべさんの話を聞いて、「手で口を触らない」とか「指先をきちんと洗う」とか、ちょっとした心がけがインフルエンザの予防につながるんだな~と思いました。
インフルエンザにどうやって感染するのか、どうすれば予防できるかを知っておくだけでも、受験生が自分の体を守れる可能性は高まると思っています。
やみくもに怖がる必要がなくなれば、精神的にも安心してリラックスできそうですよね。友だちにも伝授しておきます。
受験生のみなさん、がんばってください!
(本記事は、専門の医師の監修を受けて作成しています)
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