- 「大波襲来」
- 前田 利久
自由写真部門審査員 : 立木 義浩
波の高さから察するに風は相当な強さだったと思われます。荒れた天候にあわせて撮影に出られたのでしょう。低気圧が近づくと、雲がパーッと出て風がフーッと吹く。そういうのを知っているわけですね。そして気になるのは、建物がこんな危ない場所に建っていていいのかということ。なんでこんなところでという理解しがたい部分が面白くもあります。水平線に目を向けると、今まさに夕日が沈みこれから日没を迎えようかというところです。空全体が青暗く染まる中、うっすらとほんの少し赤が混じっているあたりに美しさを感じます。
ネイチャーフォト部門審査員 : 前田 晃
「フジコン大賞」は「自由写真部門」からの選出ということですが、風景写真的な要素も含んだ見応えある作品です。荒れ狂う波の迫力を的確なシャッターチャンスでとらえています。画面全体を染めるブルーグレイの渋めなトーンのなか、中央部分には夕陽に染まった美しいオレンジ色が垣間見え、このあたりの色彩バランスがとても秀逸です。静と動の対極を、建物、荒々しい波とで表現した素晴らしい作品です。
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