- 「先客」
- 馬場 歩
審査員 : 清水 哲朗
「見~た~な~」という声が聞こえてきそうです。扉を開けてしまったことを後悔しそうな臨場感がたまりませんね。この作品の魅力はよちよち歩きの赤ちゃんが洗面台に立った瞬間というよりも、明確な意思を持った人の“見られてしまった”感がストレートに伝わってくるところ。互いの考えが交錯している臨場感は撮影距離がこれ以上近すぎても遠すぎても、第三者が撮影しても伝わらないでしょう。気持ちが落ち着いたころにジワジワと見えてくる整頓された洗面台やタオルのねじれといった周辺環境も日常を巧みに描写しています。見れば見るほど惹かれる傑作です。
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