- 「春爛漫」
- 阿部 孝志
自由写真部門審査員 :織作 峰子
場所や時間帯の選択、そしてカメラの設定など、さまざまな工程でベストを尽くし撮られたのでしょう。確かな技術を持って、富士山と見まがうような蝦夷富士を梅と組み合わせて華麗に見せています。後世まで残したい、日本の美しい風景そのものです。前景に梅を入れたことで、湖を経て山までの奥行き感が強調されています。丁寧に撮ることの大切さを教えてくれているような作品です。
日本の文化部門審査員 : 椎名 誠
題材の魅力のみならず、技術的にも非常に優れた作品が大賞に選ばれました。撮影者は自分の中で練りに練った撮影ビジョンへと近づけるべく、丹念に計算して撮影されたことでしょう。遠景と近景による距離感の演出が上手く、また、蝦夷富士をパンフォーカスでとらえている点も作風にマッチしています。なかなか撮ることのできない、優れた作品だと思います。
ネイチャーフォト部門審査員 : 相原 正明
近景・中景・遠景が美しく重なり、まさしく「ザ・ランドスケープ」と呼ぶに相応しい作品に仕上がっています。構図は緻密。また、光の入れ方も的確で、時間帯による微妙な違いを見極め、最善の光をとらえることに成功しています。そして何よりも抜けのいいところがポイントで、見ていて気持ちの良い、広々とした映像を演出しています。“基礎”と“王道”をしっかり押さえた秀作です。
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