この作品の良さは単純な写真の美しさとはまったく別のところにあって、日常の中のリアリティによって深く印象を残します。「あげないもん」とのタイトルが示すとおり、この1シーンは被写体の子どもが織りなすある種のドキュメントになっています。そして、その実際に起きた目の前の出来事を、作者は美しい作品的なニュアンスでとらえることはせず、ありのままにとらえています。作られたものではない、リアルな写真の美しさがこの1枚にはあります。
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