- 「金屏風」
- 齋藤 俊典
審査員 : 前田 晃
作品はお堀の一部をとらえたものでしょう。散った花びらが少し茶色になり始めた、通常は被写体として扱いづらいものを実に上手い切り口でとらえています。全体的に地味な色合いでありながら品のある描写で、落花と木の枝との合わせ方も上手く、まさにタイトルにある「金屏風」のような世界観を作り出しています。実際の見た目にはあまりキレイに見えない景観だと思われますが、被写体の特性を知り尽くしているからこそとらえることのできた作品ではないでしょうか。季節の哀感も感じとれ、見ている人の思いがこの場面に結実しているかのようです。
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