- 「ワイルドなヒゲ」
- 篠﨑 智宏
自由写真部門審査員 : 小林 紀晴
数ある作品の中でもとくに第一印象で目を引いた作品です。ビジュアル面でのインパクトに加え、子どもの表情が実に素晴らしいですね。見事なまでの満面の笑みに、見る側もついつられて微笑んでしまいそうです。一見ありがちに見えて実はあまり見たことがないという珍しいタイプの作品であり、見る側にこうした斬新な感覚を与えてくれるという意味において、フジコン大賞にふさわしい素質を十分に備えていると感じました。構図・題材と、ただでさえ印象強い作品であるにも関わらず、背景をシンプルに処理したことで顔に視線を集中させるという手法がとられていて、印象を一段と強めるのにこのうえなく効果的だったといえるでしょう。
ネイチャーフォト部門審査員 : 中村 征夫
この作品を拝見した瞬間、驚くほどの力強さを感じました。少年とトンボとの関係が非常にリアルに表現されています。少年の日に焼けた健康的なたくましさ、腕白さが具体性を持って伝わってきます。「ワイルドなヒゲ」のタイトル通りトンボがいい位置にドンと止まっています、こういうこともあるのですね。少年の笑顔が実に健康的で、その少年に対し恐怖心も抱かずに平然としているトンボの猛々しさなど、イメージが膨らむと共にこのあとどういう展開となったのか、と思わせるドラマ性もあり、文句なく大賞にふさわしいと思いました。
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