審査員 : テラウチマサト
一見すると通り過ぎてしまうような風景ですが、いずれも「京都魔界案内」風に上手く作り込まれています。どのページを見ても写真1枚1枚が非常に強い力を持っていて、そうした写真だけで構成されているという点に驚きました。フォトブックとはページ構成で見せるものですから、ときに「いいなぁ」と思われる作品でも「この写真はいらなかった」ということが度々起こるもので、それは作品に対する甘さでもあります。この作品においては、一切の無駄がそぎ落とされ、不要と思われる写真が1枚として見当たりません。撮影者のセレクトする目の確かさと、長い時間を写真に費やしてきたという力量が伝わってくるものであり、完成度の高さにおいてフォトブックの新たな一時代を築いたと言ってもいいでしょう。さらに、近年ひときわ注目を集めるようになったパワースポットという一種のブームに対し、ただのブームとしてではなく独自の視点で切り込んでいる点も高評価に繋がりました。
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