この「時と温度」は写真一枚一枚の並べ方に力強さがあり、それが意外なページネーションとあいまって不思議な面白さを感じさせます。例えば凍り付いた樹からスタートして、次に水滴が落ちた写真、その横にいきなり誰かの瞳のアップ……そうした先の読めない展開に引き込まれました。随所で意表を突きつつも、全体を一つの“雰囲気”としてまとめることに成功しており、心の中に鋭くえぐり入ってくるような一体感は新鮮であり魅力的でした。写真以外の、デザイン処理や書体の入れ方といった部分も秀逸であり、大賞を飾るに相応しい作品と言えるでしょう。
掲載されている写真の転用は固くお断りします。